仕事が覚えられないのは病気?発達障害の関係や対策について
更新日:2025年10月29日

就職や転職をしたものの、「なかなか仕事が覚えられない」と不安を抱えている方は少なくありません。ほとんどの人は、経験を重ねるうちに少しずつ仕事を覚えていくので大丈夫です。しかし、いくら努力しても「仕事を教えてもらってもすぐ忘れてしまう」「同じミスを繰り返してしまう」など、業務に大きな支障が出る場合には、発達障害などの原因があるかもしれません。本記事では、仕事が覚えられないことと発達障害の関係、仕事が覚えられない時の生活面での対策などを解説します。
目次
仕事が覚えられないのは病気?
仕事が覚えられないことと発達障害の関係
仕事が覚えられないことに、発達障害の特性が関係している可能性があります。
大人の発達障害の種類
発達障害には、大きく分けて「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如多動症(ADHD)」「限局性学習症(SLD)」の3つのタイプがあります。
● 自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人関係やコミュニケーションが難しい障害です。興味や関心を持つ範囲が限られていて、独特の行動や強いこだわりが見られることもあります。また、人よりも感覚が敏感なところがあり、逆にほとんど感じない部分がある人もいます。
● 注意欠如多動症(ADHD)
注意欠如多動症(ADHD)は、忘れ物や失くし物が多い、うっかり同じ失敗を繰り返す、集中できないなど、不注意・多動・衝動型といった特徴や症状が表れる障害です。
● 限局性学習症(SLD)
限局性学習症(SLD)は、知的能力は正常の範囲内であるにもかかわらず、読み、書き、計算といった特定の学習が苦手という特徴があります。
発達障害の種類・特性や程度には、個人差があり、ひとつの種類・特性だけが現れる人もいれば、いくつかの種類・特性が重なって現れる人もいます。
発達障害の特性が仕事に与える影響
発達障害の特性が仕事に与える影響には、次のようなものがあげられます。



仕事が覚えられない時の職場での対策
仕事が覚えられない時の対策について紹介します。
仕事が覚えられない原因を理解する
まずは、自分がどのような場面や内容で、仕事が覚えられないのか整理してみましょう。それらを整理することで具体的に対策を立てることができます。また、自分が持つ障害の特性を理解する必要もあります。特性を理解することで、得意なことや不得意なことが明確になります。
パソコンやスマートフォンのツールを活用する
ツールを活用することで、不得意や苦手な仕事を補える可能性があります。例えば、タスク管理が苦手な人には、スマートフォンのリマインダー機能や、ToDoリストアプリが役立ちます。
また、限局性学習症(SLD)で文字の読み書きが苦手な方は、パソコンやスマートフォンのメモ帳機能を使用したり、音声録音、音声入力などが有効です。
また、パソコンやスマートフォンでなくとも、チェックリストやフローチャートなどを使って、タスクを見える化することでミスが少なくなります。
周囲にサポートをお願いする
仕事を覚えるのが難しいと感じた時には、職場に協力をお願いしましょう。自分のできないことや苦手なことを伝えておくと、職場の方たちもどうサポートしたらいいのかわかります。
先ほど紹介したツールも、職場によっては使用する際に許可が必要な場合があります。そのような時にも「こういう苦手な仕事があるが、このツールを使うことでできる」といった説明をすることが大切です。
仕事が覚えられない時の生活面での対策
発達障害でなくとも、仕事が覚えられないと悩んでいる人は少なくありません。仕事を覚えるのに必要な記憶力や集中力は、日頃の生活習慣に大きく影響を受けます。まずは、心身の状態を健康に保つことが大切です。
しっかりと睡眠をとる
我々の脳は、日中に学習・経験したことを、睡眠中に記憶として整理・定着させていると考えられています。規則正しく睡眠をとって、質の良い眠りを確保することが、記憶にとって大切です。寝不足や不規則な睡眠、睡眠の質が悪いと記憶力や集中力が低下します。
つまり睡眠は、仕事を覚えるための重要な時間なのです。それだけでなく、睡眠不足では頭がうまく働かず、覚えた仕事も効率が上がらなかったり、ミスをしてしまう可能性があります。仕事が覚えられないで困っている方は、まずはしっかりと睡眠をとることを意識しましょう。
朝食を抜かない
朝食を抜くと、脳のエネルギーとなるブドウ糖が不足するため、記憶力や集中力の低下につながります。ブドウ糖は、体内に大量に蓄積することができないため、すぐに不足してしまいます。つまり、朝食を抜いた空腹な状態はエネルギー不足です。脳のエネルギーが不足していると記憶力や集中力が低下して仕事を覚えることができません。
適度な運動をする
運動をすると脳の血流が促進されて、神経細胞の働きが活発になります。なかでもウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、ちょうどいい脳の刺激になって、記憶力を高めてくれます。
また、運動をすることで夜にしっかり眠れるようになります。
医療機関に相談する
発達障害以外にも、記憶力や集中力の低下に関係する病気や障害があります。上記で紹介したような対策をしても、どうしても仕事が覚えられなくて、社会生活に支障をきたす場合には、精神科や心療内科などの医療機関に相談してみましょう。
原因が分かれば、適切な治療を受けて症状が改善したり、職場への支援や配慮が受けられる可能性があります。
発達障害で仕事が覚えられない時の支援機関
発達障害で仕事が覚えられず、自分では問題を解決できない、職場のサポートも受けられないと困っている時には、支援機関に相談してみましょう。
発達障害者支援センター
「発達障害者支援センター」は、発達障害の方とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、さまざまな相談に応じ指導と助言を行っている機関です。
発達障害者支援センターでは、「相談支援」「発達支援」「就労支援」の3つの支援を行っています。
● 相談支援
発達障害が原因で発生している問題や、発達障害かもしれないと思った行動・言動など、日常生活におけるさまざまな相談に応じてくれます。
● 発達支援
発達障害の方とその家族、周囲の人の支援に関する相談に応じて、家庭での療育方法についてアドバイスします。
● 就労支援
就労を希望する発達障害の方に対して、就労に関する相談に応じて、公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関と連携して情報提供を行います。
ハローワーク
「ハローワーク(公共職業安定所)」は、国(厚生労働省)が運営する公的な総合雇用サービス機関です。ハローワークでは、障害のある方の就職活動を支援するため、障害について専門的な知識を持つ職員や相談員を配置して、就職に関する相談に応じています。
また、「精神・発達障害者雇用サポーター」を配置して、精神障害や発達障害がある求職者に対して、障害の特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援をしています。
地域障害者職業センター
「地域障害者職業センター」は、ハローワークなど地域の就労支援機関と連携しながら、障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供する機関です。また、職場に対して、雇用管理に関する専門的な助言その他の支援も行います。
障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」は、障害のある方の仕事に関係することと日常生活の両方を相談できる施設です。具体的には障害のある方に対して、次のような支援を行っています。
● 就業面
・就職に向けた準備支援
・就職活動の支援
・職場定着に向けた支援
・関係機関との連絡調整
● 生活面
・生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言
・住居、年金、余暇活動などの地域生活、生活設計に関する助言
・関係機関との連絡調整
就労移行支援
「就労移行支援」とは、障害者総合支援法に定められた「障害福祉サービス」のひとつです。一般企業への就職を目指す障害のある方が、就労に必要な知識やスキルを身につけるためのトレーニングを行い、就職後も職場に定着できるようサポートを行います。
発達障害に特化した就労移行支援サービス
「atGP(アットジーピー)ジョブトレ」は、障害者の転職サービス業界 No.1の実績を誇る「atGP」が運営する就労移行支援サービスです。「atGPジョブトレ」は、うつ病コース・発達障害コース・統合失調症コース・聴覚障害コース・難病コースと5つの障害に特化したコース制なので、自分の障害と上手く付き合いながら働き続けるためのスキルが身につきます。
発達障害コースでは、「仕事が覚えられない」「ミスが多い」など、発達障害の方にありがちな悩みに対処しながら、事務職で活躍できるスキルが身につきます。






