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家族がうつ病になったらどうすればいい?~その時の対応や仕事について~

更新日:2022年08月10日

厚生労働省の調査(2017年)によりますと、うつ病を含む日本の感情障害の患者数は、入院、外来合わせて、精神疾患患者約400万人のうちの1/3程度といわれています。日本ではおおよそ、100人のうち6人がうつ病を経験しているという調査結果もあります。2006年には260万人という患者数だったことを考えると、うつ病等になる人も大きく増えていて、現在では非常に身近にある病気と言えます。誰もが些細なきっかけでうつ病等になる可能性がある今だからこそ、家族やパートナーがうつ病になったらどうしたらよいのか、知っておくことは大切ではないでしょうか。今回は家族がうつ病になったときの対応はどうしたらよいのか、そして仕事をしている場合はどうすべきなのかについて解説していきます。

うつ病とは

うつ病は感情障害(気分障害)と呼ばれる精神疾患です。おもに、慢性的な気分の落ち込みがあり、何も楽しくないといった症状があります。アメリカ精神医学会のDSM₋5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)では診断基準は以下のとおりです。

A:

1.1日中続く抑うつ状態

2.1日中続く何ごとにも興味を持てない、喜びを感じない状態

3.著しい体重の増減、食欲の減退、増加

4.ほぼ毎日続く不眠、または睡眠過多

5.ほぼ毎日他者から見てわかる焦燥、または感情の鈍りがある

6.ほぼ毎日疲労を感じる、または気力の減退がある

7.ほぼ毎日自分に対して無価値、過剰な罪悪感がある

8.ほぼ毎日思考力や集中力の減退がある、決断ができない

9.自殺について考えたり、計画を立てる

 

B:著しい苦痛を感じる、または社会的、職業的機能に大きな障害を与えている

 

C:原因が物質や他の病気などによる精神への影響ではない

 

これらの症状のうち、1か2を含む5つ以上があてはまるとうつ病と診断されます。ほぼ毎日続くというのは大体2週間以上継続する状態を指します。

家庭内で見られるサイン

うつ病では、発症すると前述したような症状が見られ、それは具体的なサインとして現れます。以下のような現象や行動が複数、家族やパートナーに見られるようになったらうつ病を疑ってみてよいでしょう

 

・口数が減った、家族と話をしなくなった

・ネガティブな発言が増えた

・以前より明らかに家事をせず、部屋が散らかっている

・食欲がなく、食事を残すことが増えた

・休日は一日中寝ていることが多くなった

・朝からぐったり疲れている

・会社を遅刻したり、休みがちになった

・寝つきが悪い、睡眠リズムが乱れている など

 

うつ病になると、それまで元気で明るく活発だったような人でも上記のようなサインをだすようになります。これらのサインが一つ、二つ見られることは日常生活をする中で、一時的な体調不良や、疲労、落ち込みなどでもあります。しかし、複数のサインが10日~2週間と続くようならうつ病の可能性がありますので、早めに精神科や心療内科を受診するようにしましょう。精神疾患においても早期発見・早期治療は重要です。周囲が気づいてあげないと、本人には自覚がないことが多いです。

家族がうつ病かも?と感じたら

まずは「相談」につなげる

前述したようなサインが見られるなど違和感に気づいたら本人の話をゆっくり聞くようにします。

 

本人が何か話してくれる場合、否定せず受け止める姿勢が必要です。 「そんなことないよ」と励ますのではなく、本人が一番つらいと感じていることや話したいことを探っていきます。

 

 本人が話したがらない場合は無理に聞き出さず、「話したくなったらいつでも聞くよ」などの言葉かけをし、見守るスタンスであることを伝えるようにします。

 

本人が相談できそうな場合

会社の産業医や相談窓口に相談をすることから始めてみましょう。まずは本人に相談するように提案してみて、相談を躊躇するようなら、家族でも相談できることもありますので、代理で相談してみるのもよいでしょう。その際、できるだけ本人に承諾を得てその意思を尊重するようにします。

 

会社に相談窓口がない場合や、長時間労働が疑われる場合などは、厚労省総合労働相談コーナーや労働条件相談ほっとラインなどを活用します。

 

安心できる環境をつくる

うつ病を含む精神疾患においても、風邪などの病気と同様に、基本は「安心して休息する」ことが大切です。言葉だけでなく、さりげない気遣いもしながら本人をゆっくり休ませるように心がけましょう。あまり干渉しすぎず、見守る姿勢も大切です。

 

変わらない場合は病院への受診をすすめる

2週間以上状態が改善されず、継続するときは病院への受診をすすめてみましょう。何よりも本人が寝れない、不安が続くなどの状態は心身ともに苦しいはずです。早期に受診、治療することで回復も見込めます。ただし、無理強いは禁物です。

 

多くのうつ病などの精神疾患を持つ人は外出することや、人混み、違う環境に不安を感じやすいため、初めての受診は家族、パートナーなどよく知る人が付き添って行くことが望ましいでしょう。本人に任せておくとなかなか受診しないことが多いです。

家族がうつ病と診断されたら

仕事からはしばらく離れるのが理想的

うつ病と診断されたら仕事は休職することが望ましいです。うつ病の症状には波があり、一時的に調子が上向くことがありますが、仕事を再開したり、転職した途端に悪化することも多いです。転職、職場復帰して数週間、早い場合は数日で出勤できなくなることもよく見られます。

もちろん症状が改善しないのに無理して続けても更に悪化する可能性が高いので、こちらもおすすめはできません。

 

休職期間は状態によりますが、目安としては、

 軽度の場合は約1か月程度の休職

 中等度の場合は3~6か月程度の休職

 重度の場合は1年程度の休職期間

となります。あくまで目安ですので期間についてはしっかりと医者に相談し、指示を仰いでください。

 

うつ病の時の休職期間の詳細はこちらの記事をご覧ください:うつ病の休職期間はどれぐらい?その間の正しい過ごし方とは? | atGPしごとLABO

 

励まさない、無理に特別なことはしない

頑張りすぎてうつ病になってしまう方が多いため、「頑張れ」などの励ましは基本的にしてはいけません。うつ病にかかる人は普段から手を抜かず何事にも真面目に取り組む傾向があり、それは家庭や職場でも垣間見えることが多いです。

 

どうしても周囲の人間はよかれと思って気分転換のために楽しい企画をしたり、旅行に連れていくなどを考えてしまいますが、無理やり連れ出しても楽しめない状態のことが多いため、本人の意思を尊重し、特別なことは控えるほうがよいでしょう。

   

原因探しをしない

 なぜうつ病になってしまったのか、自分達が問題なのかなどの原因はなるべく深掘りせず、「今できること」を中心に考えるようにすることが大切です。

 

大きな決断は先延ばしにする

自責の念から退職や離婚について本人から話す場合もあるため、今はまず健康になることを優先する、という旨を伝えて大きな決断は先延ばしにするようにしましょう。当然、うつ病の状態ではポジティブな思考にはなれず、よい判断はできないと考えられます。その時の判断を後悔することもあり得るのです。

 

収入面の心配は公的制度を活用する

うつ病になると、当然仕事は休職という選択がよいわけですが、同時に医療費を含む生活に必要な収入が気になるところです。今までのような労働収入を得ることはできませんが、収入面をある程度補うことができるさまざまな公的制度があります。これらの制度を利用したり、支給を受けるにはそれぞれの要件がありますので、役所の障害福祉関連の窓口や、年金事務所、ハローワークなどに相談するようにしてください。

 

うつ病の際に利用できる可能性がある公的制度

・障害年金

・特別障害者手当

・特別障害者給付金

・精神通院医療(精神障害での通院治療の個人負担の減額)

・重度心身障害者医療費助成制度

・傷病手当(休職時)

・精神障害者保健福祉手帳の各種減免

 

うつ病の際に利用できる収入面をサポートする制度の詳細についてはこちらの記事をご覧ください:うつ病で働けなくなったときの収入とお金の心配を減らすための制度を解説 | atGPしごとLABO

休職後の社会復帰時の対応

社会復帰は焦らずに

社会復帰を目指すときは焦らずに、本人のタイミングに合わせるようにします。ただし、逆に本人が焦っている場合は、適切な時期については医者のアドバイスに従うことが大切です。家族やパートナーもできる限り医者の意見を聞いておくのがよいでしょう。

 

復職/転職には就労移行支援の活用もおすすめ

うつ病からの復職・転職の際は、就労移行支援を利用することをおすすめします。就労移行支援とは、障害者が日常生活や社会生活を営むために必要な訓練などの支援を原則1割負担で利用できる訓練等給付のサービスのうちの一つです。軽い自己負担で利用できる公的制度のサービスを有効に利用しましょう。

 

就労移行支援は一般就労を目指す障害者のニーズにあったプログラムを提供してくれるので是非利用して社会復帰を目指しましょう。

 

うつ病からの社会復帰はatGP ジョブトレで

atGPジョブトレは就職に必要なスキルの習得から、就職活動のサポート、就職後の職場定着まで、あなたの「働き続ける」をトータルサポートする就労移行支援事業所です。

 

atGPジョブトレのサービス

①3つのスキル習得

 障害理解・対処スキル、ビジネススキル、実践スキルをバランスよく身につけていきます

 

②就職活動サポート

 障害とうまく付き合いながら自分の力を発揮し、長く働くことができる職場への就職を一緒に目指します

 

③職場定着サポート

 就職後も最大3年半、安定して働き続けていくためのサポートをしていきます

 

就労移行支援事業所atGPジョブトレについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

障害別コース制の就労移行支援サービス|atGPジョブトレ

まとめ

現代社会ではうつ病はとても身近にある精神疾患です。社会に自分を合わせ、周囲に気を遣う文化の日本では真面目な人ほど知らず知らずのうちにストレスを溜めてしまいます。もし家族の誰かがうつ病のサインを出していたら見逃さないようにすること、そして産業医への相談や精神科や心療内科などの専門医の診察を受けることが重要です。その上でうつ病の治療にはある程度の期間が必要であることを理解し、無理をさせず、適切な休職をとることを優先させましょう。心身ともに十分に回復したら、医者と相談しながら職場復帰や転職について考え、準備をしていきます。退職したり、休職した場合は利用できる公的制度を駆使して収入を補い、少しでも経済的な不安を減らし、ゆっくり休めるようにし、助走をつけて大きくジャンプするようなイメージで、時間がかかっても以前のようにいきいきと働けるように心身の充実を図っていただきたいと思います。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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