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視覚障害のある方の買い物方法や、困りごとへの対処法

更新日:2023年12月04日

買い物等の日常生活を送る上で、さまざまな困りごとを抱えている視覚障害者の方も少なくありません。一般の方であれば日常的に意識せずに行っていることでも、視覚障害のある方はなんらかの工夫や対処をしなければ、日常生活を送ることが難しくなってしまいます。ここでは、視覚障害のある方がどのような困りごとを抱えているかということの例やその対処法、相談できる機関について解説を行っていきます。

視覚障害者の「見えづらさ」は人によってさまざま

そもそも視覚障害とは、視力や視野になんらかの障害があるため日常生活に不自由が生じてしまう状態のことを言います。

視覚障害と一口に言っても、その障害の程度は人によって異なるため見えづらさも個人個人によって異なります。

全く視覚がない「全盲」から視覚は残っているが見えづらい「弱視」などがあり、それぞれの視覚障害の種類や程度によって、必要になるサポートにも違いが出てきます。

視覚障害のある方は、自分の視覚障害の程度や種類によって自分にあったサポートシステムや便利アイテム、スマートフォンのアプリなどを積極的に活用することをおすすめします。

視覚障害のある方はどのような方法で買い物をする?

視覚障害のある方が困りごとを感じるシーンにはさまざまなものがありますが、ここでは買い物を例に挙げてその困り事への対処法を解説していきます。

 

ネットスーパーや通販を利用する

パソコンやスマートフォンのアプリには、音声読み上げアプリがあります。

これを活用して、食料品や日用品をネットスーパーや通信販売で購入することができます。

この方法のメリットは、いつでもどこでも気軽に注文することができるということが挙げられます。しかしこの方法には、商品を注文してから自宅に届くまでに時間がかかることがある、商品代金の他に送料が必要になるというデメリットもあります。

 

外出して実店舗で買い物をする場合はできるだけ店員さんにサポートをお願いする

実際に外出し、コンビニやスーパーで買い物をする際には、店員さんに声をかけて売り場まで誘導してもらうなどのサポートをお願いすることで、スムーズに買い物を行うことができます。

また、商品の値段や内容量は小さな文字でかかれていることが多いため、弱視の方は携帯型の拡大読書器を使用したり、スマートフォンで写真を取ってそれを拡大し記載内容を確認したりするといった方法があります。

しかし、店内の写真撮影を禁止しているお店もあるため、そのような場合には店員さんに声を掛け、許可をもらってから写真撮影を行うなどの注意が必要になります。

 

外出の際は白杖や盲導犬、移動支援事業を活用する

買い物などを行うために外出する場合には白杖や盲導犬、移動支援事業などのサポートアイテムを活用することで、安全かつスムーズに買い物を行うことができます。
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視覚障害のある方の外出をサポートするもの

視覚障害のある方の外出をサポートするものには、以下のようなものがあります。

 

白杖(盲人安全つえ)

白杖は自分が歩いていく方向に障害物がないか、地面の状況や進行方向を確認するために用いられます。

また、周囲に自分が視覚障害者であることを伝える役割も持っています。

 

盲導犬

盲導犬は障害物を避ける、段差や角を教えるなどの方法で視覚障害のある方が安全に歩けるようにサポートするために特別な訓練を受けた犬です。

一般のペットが入ることができない場所や施設であっても、盲導犬であれば身体障害者補助犬法によって同伴することが認められています。

盲導犬は食事やトイレの世話などがあるためそれらのことが不便に感じられる事もありますが、視覚障害のある方にとって大切なパートナーになります。

 

点字ブロック

点字ブロックは、視覚障害のある方がスムーズに歩行するためにナビゲーションをしてくれます。

点字ブロックの凹凸を足の裏で感じることで、全盲の方でも「進め」や「注意」を判断することができます。

 

移動支援または同行支援

移動支援や同行支援とは、視覚障害のある方の移動の際に提供されるサポートの事です。

ここでは、それぞれの違いについて解説していきます。

 

【移動支援】

移動支援は買い物や冠婚葬祭、選挙の投票などの時に普段外出が困難な人に対して、ガイドヘルパーが外出支援を行うサービスのことを言います。

移動が困難な方を対象としたサービスであるため、視覚障害のある方以外に、身体障害者や知的障害者もこのサービスを利用することができるという特徴があります。

しかしこの移動支援は、地方自治体が行っている生活支援事業であるため、自治体によってこのサービスを利用できる人やサービスの内容が異なります。

 

【同行支援】

同行支援とは、視覚障害のある方へ外出時の支援サービスを提供する国の事業で、移動支援のような自治体ごとのサービスの違いはありません。

個人向けのサービスである「個人給付」なので、1対1のサービスを受けることができます。

視覚障害のある方が買い物をする際によくある困り事とその対処法

ここでは、視覚障害のある方が買い物をする際によくある困り事と、その対処法について解説していきます。

 

よくある困りごと①誰に声をかければいいか分からない

買い物などの際に店員さんから「いらっしゃいませ」などの声かけをされることがありますが、それが複数の店員さんだった場合に誰に声をかければいいか分からないことがあります。

店員さんが忙しそうにしているのが分かる場合にも、声がかけづらいと思われる方も多いでしょう。

 

対処法

近年では、サービスカウンターや案内書を設置しているスーパーやデパートが増えているため、サポートシステムがあるお店かどうかを買い物に行く前にチェックしておくと、店員さんにサポートをお願いしやすくなります。

またデパ地下などでは、売り場まで案内してくれる店員さんが売り場の店員さんとバトンタッチをして説明してくれたり、サポート専門のスタッフがいたりするので、積極的に店員さんに声をかけることでスムーズに買い物をしやすくなります。

 

よくある困り事②どの商品を選べばいいか分からない

買い物をする際に、商品が見えづらいためどれを選べばいいのか分からないといった困りごとが出てくる可能性も高くなります。

商品を選ぶ際には値段、内容量、品質、大きさなどの視覚から入る情報を把握できないと、商品を比べるのが難しくなってしまいます。

 

対処法

「新しいものはどれか」「人気のものはあるか」「おすすめはどれか」「セール品はあるか」など、自分が欲しい商品の詳しい情報を店員さんに聞いて商品を選ぶとよいでしょう。

弱視の方は商品の情報を得るために携帯型の拡大鏡を使用したり、スマートフォンのカメラで商品を撮影し、画像を拡大して記載内容を確認するという方法もあります。

ただし、店舗内の写真撮影が禁止されているお店もあるので、店員さんの許可を得てから写真を撮るようにしましょう。

 

困った時の相談窓口・支援機関

視覚障害のある方が困りごとを相談できる機関には、以下のようなものがあります。

 

・日本視覚障害者団体連合

日本視覚障害者団体連合は、視覚障害者が自分たちの手で「自立と社会参加」を実現するために組織された視覚障害者の全国組織です。

国や地方自治体の視覚障害者政策、人権、教育、福祉、職業、環境問題などの立案や決定に際して、視覚障害者のニーズを反映させるため陳情や要求運動を行っています。

 

・視覚障害者支援総合センター

日本視覚障害者総合センターとは、就労継続支援B型事業所「チャレンジ」を開設し、視覚障害者の支援を行う社会福祉法人です。

それ以外にも点字教科書の出版、各種自治体の広報誌の点訳、点字通信教育の実施などの幅広い分野にわたって視覚障害者の支援を行っています。

 

【仕事に関する相談先】

視覚障害のある方の仕事に関する困りごとを相談できる機関には、以下のようなものがあります。

 

・障害者就労・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保険、福祉、教育などの関係機関と連携し、障害者の身近な地域において就業面及び生活面に置ける一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進と安定を図ることを目的とした機関です。

 

・就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、事業所に通いながら就職に向けたサポートを受けることができる機関です。

個別の支援計画に沿って他の利用者と一緒に就職に役立つ知識やスキルを学ぶことができ、就職の準備や就労支援員に就職や体調に関する相談をするなど、必要なサポートを受けることができます。

 

・地域障害者職業センター

障害のある人に対して専門的な職業リハビリテーションを提供している施設で、視覚障害のある方も利用することができます。

全国の各都道府県に最低一か所は設置されていて、運営は独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構が行っています。

 

・ハローワーク

ハローワークは、障害がある方の就職活動を支援するため、障害について専門的な知識を持つ職員や相談員を配置し、仕事に対する情報を提供したり、就職に関する相談に応じてくれる機関です。

 

・障害者向け就職エージェント

転職エージェントとは、転職希望者と中途採用をしたい企業をマッチングしてくれる業者のことです。

転職エージェントに登録を行うと、ほとんどの場合専任のアドバイザーが求職の受付から転職までの全てのシーンにおいてサポートを行ってくれます。

転職エージェントの中には障害者専門の業者もあるので、視覚障害のある方はこのような転職エージェントを利用することをおすすめします。

atGPとは

atGPとは、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する各種障害者の就職および転職支援サービスの総合ブランドです。

20年以上障害者の就職や転職の支援を行ってきた日本の障害者雇用のパイオニアともいえる存在が、このatGPです。

atGPが提供する就職や転職に関するサービスは、基本的に無料で受けることができます。

障害や難病を抱える人の将来のビジョンや金銭的な課題も含めて、ひとりひとり異なる不安や悩みに関して専属のエージェントが二人三脚で寄り添い、サポートを行ってくれるというものです。

視覚障害を持つ方が生活や就労に関する困りごとを抱えている場合には、atGPに相談することを念頭に置いておくことをおすすめします。
atGPエージェント

まとめ

ここまで、視覚障害のある方の買い物時によくある困り事とその対処法、困りごとを相談できる機関などについて解説してきました。

視覚から情報を得られない場合、日常生活でさまざまな困りごとを抱えてしまうでしょう。

そのような場合には白杖だけではなく、移動支援や同行支援などのサービスを上手に使うことで、買い物などの外出をよりスムーズに行えるようにできます。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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