就労移行支援を2回目以降も利用できる?再利用できる条件や手続きなど
更新日:2024年10月22日
就労移行支援を利用したことがある方の中には、また利用することができるのか不安に思っている人もいるのではないでしょうか。就労移行支援は24か月の標準期間は決まっていますが、利用回数については特に定められていません。本記事では就労移行支援を2回目以降に利用する際の条件や申請手続き、利用する際の注意点などを解説します。
目次
就労移行支援を2回利用(再利用)することはできる?
就労移行支援は利用できる期間が決まっています。では、2回以上利用することは可能なのでしょうか。
就労移行支援に関する法令
「就労移行支援」は、一般企業への就職を目指す障害のある方たちに、働くために必要な知識やスキル向上をサポートするための福祉サービスで、障害者総合支援法という法律によって定められています。
利用できるのは、基本的に利用者ごとに設定された24か月の標準期間の間です。利用期間については設定されていますが、利用回数については特に定められておらず、期間内であれば複数回利用(再利用)できるケースがあります。就労移行支援を再利用するケースとして考えられるものには、次のようなものがあります。
・就労移行支援を利用して就職したが退職してしまった場合
・体調不良などの理由で就労移行支援事業所に通所するのが難しくなって一旦やめたが、状況が良くなり再度通所する場合 ・利用していた就労移行支援事業所が合わず、別の事業所に変える場合 ・感染症の流行拡大や災害などにより、通所や利用が制限された場合 |
就労移行支援が利用できる回数
先ほども述べましたが、就労移行支援には標準期間(24か月)は定められていますが、利用回数には特に定めがなく、期間内であれば利用が可能です。例えば1回目の利用期間が15か月だった場合、残りの利用できる期間は9か月になります。このように合計で24か月になるまでは、何度も利用できると考えられます。
2回目以降の利用だからといって、特別な申請や手続きの必要はありません。1回目に利用した時と同様です。ただし、自治体によっては1回目と2回目以降で利用基準が異なる可能性があるので、詳しくは現在住んでいる市町村の障害福祉窓口などに確認しましょう。
必要が認められた場合には1年間の延長が可能
就労移行支援の利用期間は24か月となっていますが、期間を過ぎても何らかの理由で就職できなかった場合、期間を延長できる可能性があります。市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の延長が可能です。
つまり最大で3年間まで就労移行支援を利用できることになります。希望する場合には、就労移行支援事業所を通じて自治体に申請する必要があります。
利用期間はリセットできる?
1年間延長して3年間利用しても就職が決まらなかった場合に、就労移行支援を再度利用できるのか気になる方もいることでしょう。こちらも延長した方が新たに利用できないとは、定められていません。
そのため、自治体の判断によっては就労移行支援の利用期間がリセットされて、さらに2年間利用できる可能性があります。リセットされると「最初の3年」+「リセット後の2年」+「延長期間1年」で合計6年間利用できます。
最大で何年まで利用できるのかは定めが無いため、自治体の判断になります。ただし、就労移行支援は基本的に賃金の支払いはないので、継続的に何年も利用するのは、金銭的に難しいと考えられます。
2回目の就労移行支援を受ける条件
自治体が基準を設けている場合を除いて、1回目に就労移行支援を利用した時と、2回目とでは基本的に利用条件は同じです。以下の4つの条件を満たした上で、住んでいる市区町村の障害福祉課などで「障害福祉サービス受給者証」を発行してもらう必要があります。
・一般企業に就職することを希望している
・障害(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害)や難病があること ※障害者手帳を持っていない場合も医師の意見書や自治体の判断によって利用できる可能性があります。 ・18歳以上65歳未満 ・離職中の人 |
就労移行支援を利用する際の流れ
就労移行支援を2回目以降(再利用)する際の流れは、1回目と基本的に同様です。しかし、1回目にどのような手続きをしたのか覚えていないという方もいるのでしょうか。そこで、就労移行支援を利用する際の流れについて簡単に説明します。
就労移行支援を利用するまでの流れ
就労移行支援を利用するまでの流れを紹介します。実際に利用する際には、自治体によって異なる場合もあるので、住んでいる市町村の障害福祉などの窓口に確認しましょう。
1.就労移行支援事業所を探す
「障害福祉サービス受給者証」は、就労移行支援事業所に対して発行されるので、利用を考えている就労移行支援事業所を決めておく必要があります。住んでいる市町村の障害福祉課などに相談すると、通所できる範囲にある事業所を紹介してもらえます。
2.就労移行支援事業所の見学に行く
事業所によって、学べる内容やサポートに違いがあるため、カリキュラムやサービス内容を事前に確認しましょう。事業所を見つけたら、実際に見学に行ったり体験利用をしてみましょう。どういったカリキュラムやサービスの内容を確認できるだけでなく、事業所に通う仲間やスタッフの雰囲気も知ることができます。
3.利用する就労移行支援事業所を決める
複数の事業所を比較検討して、利用する事業所を決定します。自宅から近いだけで決めると利用後のミスマッチを招きます。
4.障害福祉サービス受給者証の申請手続きをする
利用したい就労移行支援事業所が決まったら、市町村の障害福祉課などの窓口に就労移行支援事業所を利用したいことを伝えて、「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」の申請手続きを行います。
5.就労移行支援事業所と利用契約を交わす
「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」が発行されたら、利用する就労移行支援事業所と利用契約を交わします。
6.就労移行支援の利用開始
就労移行支援事業所のスタッフが作成する「個別支援計画」に沿って、就職を目指しカリキュラムをおこないます。
受給者証を申請する流れ
就労移行支援を利用するには、受給者証が必要です。申請の流れは次の通りです。
1.市町村の障害福祉課などの窓口で、就労移行支援の利用を伝えて申請書を提出する。
2.自治体の職員によるヒアリングや調査
心身の状況に関してヒアリングが行われたあと、地域生活や就労意欲、日中活動などを調査します。その結果によりサービス利用の可否が判断されます。
3.受給者証の発行
サービス利用が認められて、就労移行支援事業所の相談支援専門員が作成した「サービス利用計画」を提出すると、「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」が発行されます。
就労移行支援を2回利用(再利用)する際の注意点
2回目の就労移行支援の利用では次の点に注意しましょう。
退職理由を分析する
就労移行支援を利用して就職が決まったものの、退職してしまい再度就労移行支援を利用する場合、退職に至った原因を分析しましょう。原因を特定せずに再就職しても、同じ失敗を繰り返してしまうことがあります。
例えば、業務内容や労働条件が希望と合わなかった場合、次回の就職先を選ぶときには、これらの点をしっかりとチェックしましょう。
就労移行支援事業所のスタッフに相談する
分析した退職理由を、次回の就職活動に活かしましょう。就労移行支援事業所のスタッフに相談して、自分に合った仕事を見つけることが大切です。
スタッフは、利用者の障害の状況やスキル、興味がある仕事、希望する条件などにマッチした求人を探してくれるでしょう。
就労継続支援も検討する
障害や病気の状況により、業務に大きな制限がある場合や必要な配慮が多い場合には、就労継続支援の利用も検討してみましょう。
就労継続支援は、障害や難病などのために、一般企業への就職が難しい人を対象にした障害福祉サービスです。就労継続支援は、一般企業の障害者雇用枠で働くより、障害や病気への配慮を受けて、自分のペースで働くことができます。
就労継続支援には、就労継続支援A型と就労継続支援B型の2つがあり、次のような違いがあります。
就労継続支援A型
就労継続支援B型
障害に特化したコース制の就労移行支援
就労移行支援を利用して就職したが退職してしまった場合、2回目以降も就労移行支援の利用が可能です。しかし何度も退職を繰り返さないためには、自分に合った就労移行支援事業所を選ぶことが大切です。
「atGPジョブトレ」は、障害者の転職サービス業界No1の「atGP(アットジーピー)」が運営する就労移行支援事業所です。うつ病・発達障害・統合失調症・聴覚障害・難病の5つの障害に特化したコース制で、就職後も自身の障害とうまく付き合いながら「働き続ける」ためのスキルが身につきます。
まとめ
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方たちに、働くために必要な知識やスキル向上をサポートするための福祉サービスです。利用できるのは、基本的に利用者ごとに設定された24か月の標準期間の間ですが、就職や体調不良などの理由で就労移行支援事業所を退所した後も、再利用することができます。しかし、大切なのは自分に合った就労移行支援事業と就職先を選ぶことです。1回目の利用で自分にマッチした仕事や職場に巡り合えるように頑張りましょう。