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知っておきたい、障害者の失業保険(雇用保険)!手続きや計算の方法も解説

更新日:2024年05月01日

いざというときに!知っておきたい失業保険・雇用保険

失業保険(雇用保険)は社会に出て働く時に知っておきたい重要な制度です。退職したら誰でもすぐに貰えるもの、という訳ではありません。怪我や病気など、予期せぬ事で退職を余儀なくされてしまう可能性は誰にでもあります。基本的な制度の知識を押さえておけば、いざという時にも安心です。押さえておきたい重要なポイント、受給条件、手続きの方法などを解説していきます。  

失業保険(雇用保険)とは?

名前は聞いた事がある人が多いと思いますが、失業保険は雇用保険の別の呼び名です。正式名称は雇用保険と言います。

 

会社に所属して勤める時に、給与の一部から保険料を払う形で加入します。(雇用保険の一部は会社も負担してくれています。)勤務先を何らかの事情で退職しなければならなくなった場合に、受給条件を満たすと次の仕事に勤めるまでの間、国から失業保険(正式名称:基本手当)を貰う事ができます。

 

失業保険は退職したら自動的に貰えるものではなく、必要な書類を用意してハローワークで申請しないと貰う事はできません。また、貰うためにはいくつかの条件を満たさなくてはならないので注意しましょう。

 

失業保険(雇用保険)は一度申請したら就職するまで自動的に更新されるものではなく、基本的に4週間に1度ハローワークで失業認定を受ける必要があります。認定を受けなければ受給はストップしてしまうので注意しましょう。

 

申請して失業認定されてからも、給付までには待機期間間が存在します。会社都合の失業の場合は申請してから7日間、自己都合の退職場合には3か月間、ハローワークからの職業訓練や仕事紹介を正当な理由なく拒否した場合には1か月間の間は待機期間となり、給付はされません。

 

自分の該当する待機期間は、失業日が認定された時に確認しておくと安心です。

 

失業保険(雇用保険)はあくまでも、再就職のための手当です。失業してからすぐに求職できない理由(病気などで療養が必要な場合や、妊娠、出産など)がある場合には受給できないので注意してください。

障害者は「就職困難者」に分類される

失業保険を受給する時に、一般受給者と「就職困難者」では受給条件や日数に違いがある事を知っていますか?

 

失業保険を申請する前に、まずは自分が「就職困難者」に該当しているのかどうかを調べる必要があります。

 

就職困難者とは以下を指します。

 

・身体障害者(身体障害者手帳を持っている人)

・知的障害者(療育手帳を持っている人)

・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳を持っている人、ただし例外もあります)

 

その他にも、社会的な差別などで就職が困難な人、保護観察期間にある人も該当します。

 

精神障害者には例外があり、てんかん、躁鬱病、統合失調症に該当する人は医師の診断書があれば就職困難者として手続きが可能になる場合もあります。これは住んでいる地域を管轄しているハローワークによって考え方が異なります。

 

手続きの前には一度該当する地域のハローワークがどういう対応をしているのかを調べておいた方がいいでしょう。

 

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障害者の失業保険(雇用保険)の受給条件とは?

就職困難者(障害者)が失業保険を受給する場合の条件、一般受給者の失業保険の受給条件よりも条件が緩和されています

 

障害者が失業保険を受給する為の条件は、「離職前の2年間で雇用保険に加入していた時期が通算して12か月以上あること」が条件です。(ただし、特定受給資格者や特定理由離職者となる場合は、この期間が短縮されて離職日以前1年間で6カ月以上あれば失業保険等の受給資格が得られます)

 

パートやアルバイトでも雇用保険に加入しており、給与支払いの基礎日数が11日以上あればその期間を1カ月として計算します。週5日勤務でなくとも、条件を満たしている場合には失業保険を申請できます。

障害者の失業保険(雇用保険)が貰える日数は?

 

失業保険の給付期間は、一般的には自己都合か会社都合であるか、勤続年数、年齢によって給付期間が変動します。

 

就職困難者である障害者が受給する場合は、その条件が緩和されています。

 

加入期間が1年未満の退職の場合は45歳未満、45歳以上65歳未満で150日間。1年以上の加入期間の場合では、45歳未満で300日間、45歳以上65歳未満で360日間となっています。

 

一般受給者よりも障害者の方が給付期間は長めに設定されており、勤続年数によっての変動もありません。

 

なお、給付制限については一般受給者と同様、会社都合の場合は1か月、自己都合の場合は3か月です。自己都合での退職が障害や介護などの理由の場合は給付制限がかからない場合もあります。ハローワークに確認してみましょう。

 

【受給期間の一覧】

 

一般受給者の場合

一般受給者の場合、会社都合、加入1年未満の退職では全年齢で90日間です。自己都合退職での給付期間は最大150日間、会社都合の場合で最大330日間です。

 

一般受給者の場合、障害者よりも年齢区分が細かくなり、30歳未満、30歳以上35歳未満、35歳以上45歳未満、45歳以上60歳未満、60歳以上65歳未満と5つの条件に分かれており、給付期間は年齢と勤続年数によって変動します。

失業保険の給付率の計算方法は?

失業保険の給付額は、受給者それぞれの条件に応じて計算されます。失業保険は基本手当日額に、様々な条件を加えた利率をかけて計算され、一般的には計算した基本手当の日額の50%~80%が支給されます。

 

条件とは、会社都合か自己都合か、就職困難者、特定理由離職者などの該当可否です。

 

基本手当日額は年齢に応じて上限額が決まっており、次の計算式から導き出した金額が年齢別の上限額を上回る場合は上限額までしか受給することができません。

 

元の給与が少ない人ほど、基本手当日額の80%に近い給付額が貰える仕組みになっています。

 

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基本手当日額の計算式

離職した日の直前の6か月分の所得総額÷180=基本手当日額

上記の式に退職理由(自己都合・会社都合)、就職困難者であることなどを考慮し、基本手当日額×~%で計算され、給付額が決定します。

 

また、離職後に就職した際にも手当がもらえる場合があります。

 

【再就職手当】

早期(給付期間が3分の1以上残っている)に安定した就職が決まった場合に給付される

 

【就業手当】

早期に雇用の安定していない就職が決まった場合に給付される

 

【就業促進定着手当】

再就職手当を受給した人が前職よりも給与が下がった場合に給付される

 

【常用就職支度手当】

就職困難者が一定の条件を満たし、給付日数が3分の1未満残っている間(3分の1以上残っている場合には再就職手当に該当します。)に常用雇用が決まった場合に給付される

 

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失業保険(雇用保険)を貰うために必要なもの

失業保険を受給するための手続きに必要なものを確認しましょう。

 

必要書類一覧

雇用保険被保険者離職票(雇用保険被保険者離職票-1、雇用保険被保険者離職票-2

 

・個人番号確認書類(いずれか1つ)

マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバーが記載されている住民票

 

・身分証明書(1に関してはいずれか1種類、2の場合はその内の2種類)

1.運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書か、資格証明書(写真付き)

2.公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など

・写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×2.5cm2

・印鑑(認印可)

・本人名義の預金通帳、又はキャッシュカード

 

雇用保険被保険者離職票(離職証明書)は退職後に会社に受け取りに行くか、郵送されてきます。会社がハローワークに提出する離職証明書については、自筆による本人の署名か、記名押印することになっています。

 

その後の待機期間などに関わってくるため、離職証明書に記載された離職理由に間違いがないかどうかを確認しておきましょう。

 

会社から雇用保険被保険者離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明であるなど、特殊な事情がある場合には住んでいる地域のハローワークに相談してください。

 

また、一部の金融機関は受け取りの口座に指定できないので注意してください。

失業保険の手続き方法

失業保険の手続きは本人が書類を揃えた上でハローワークに手続きに行く必要があります。

1.雇用保険被保険者証があるかを確認

退職する事が決まったら、まず、在職中に雇用保険被保険者証があるかどうかを確認しておくと安心です。ハローワークで所定の用紙に記入し、身分証明書を提示すると確認する事ができます。

 

 

2.離職証明書に記名・捺印

会社から入手した離職証明書を確認し、離職理由、雇用期間などに間違いがないかどうかを確認しておきます。

 

この時、会社側から発行されている離職証明書の退職理由に違いがあった場合(会社都合なのに自己都合による退職とされている、など)はきちんとハローワークに相談する事が大切です。

 

ハローワークが事実関係を調査してくれます。会社都合なのか、自己都合かによって待機期間、給付期間が違ってくるので注意しましょう。

 

 

3.ハローワークで失業保険の手続き(求職申込み)を行う

失業保険(雇用保険)を貰うために必要なものを参照し、必要な書類をハローワークの窓口へ持参してください。

 

失業保険の手続きの際は同時に、求職の申し込みの手続きを行う必要があるため、16時前までの来所がすすめられています。

 

4.失業保険(雇用保険)受給者初回説明会に参加

受給資格があると認定されると「雇用保険受給資格者のしおり」を渡されます。渡されたしおりと筆記用具、印鑑を持ち指定された日の説明会に参加しましょう。

 

説明会に参加する事で次回以降の失業保険の申請に必要になる「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」が貰えます。

 

 

5.求職活動の実績を作る

会社都合の場合、認定日から次回認定日までの期間に原則2回以上の求職実績

自己都合の場合、待機期間3か月と認定日から認定日までの期間に原則3回以上の求職実績が必要です。

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求職活動の実績については、再就職に関する国家資格、検定の受験、公的な機関(許可を受けた民間企業)が行う就職相談会やセミナー、求人の申し込み、など認められている事は意外と沢山あります。

 

次の就職に役立つ資格取得やセミナーに参加してみるのも、第一歩として認められるのはありがたいことです。

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まとめ

退職時、いざという時に知っておくと安心な失業保険(雇用保険)について解説しました。

 

自己都合でも特定理由にあたると認められた場合には待機期間が短くなる事もあります。安定した仕事に就く為にも、焦らずに制度を利用しながら次に備える事が大切です。
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お住まいの地域のハローワークによって制度の細かい点は異なる場合があります。退職を決めたら一度相談に行ってみるといいでしょう。

 

参照元:ハローワークインターネットサービス/雇用保険の具体的な手続き

 

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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