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精神障害のある人は療育手帳を取得できる?精神障害者保健福祉手帳との違いは?

更新日:2023年10月11日

障害者手帳には、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。それぞれ障害の種別や状態によって、交付される手帳の種類が変わります。本記事では「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」それぞれの概要と違い、申請方法、障害者手帳を持つメリットとデメリットについて解説します。

療育手帳とは

 

「療育手帳」は、児童相談所や知的障害者更生相談所(自治体によって名称が異なることがあります)で、知的障害があると判定された方に交付される手帳です。東京都や横浜市の「愛の手帳」や青森県や名古屋市の「愛護手帳」、さいたま市の「みどりの手帳」など、独自の名称を併記する自治体もあります。

 

療育手帳が交付されると、手当の給付や控除、割引、各自治体や民間事業者が提供する福祉サービスなどを受けることができます。

 

18歳未満の方は児童相談所で、18歳以上の方は知的障害者更生相談所で知的障害があるかどうかの判定を受けます。具体的な判定内容や基準は自治体や年齢ごとで変わりますが、一般的には以下の項目で判定されます。

 

・本人や保護者からのヒヤリング

・知能検査の実施

・精神科医師による診断

精神障害者保健福祉手帳とは

「精神障害者保健福祉手帳」は、精神障害の状態にあって日常生活や社会生活が長期にわたって制約されている方に交付されます。対象となるのは統合失調症や気分障害(うつ病や躁うつ病など)、てんかん、薬物依存症、高次脳機能障害、発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)といった全ての精神障害です。

 

手帳を持つことで公共料金の割引や所得税・住民税の控除、生活福祉資金の貸付、手当の支給などを受けられます。

療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の違い

「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の一番大きな違いは交付される人の障害の分類です。また手帳の有効期限も異なります。

 

手帳交付の対象について

「療育手帳」は知的障害がある方に交付される手帳です。診断基準は次の3点が考慮されます。

 

・知能検査で知的機能の遅れが認められる

・コミュニケーションや自立生活、社会参加などの面で継続的な支援の必要である
・18歳になる前に上記2点の特性が認められる

 

多くの場合、知的障害は18歳までに診断されて、療育手帳も18歳未満で申請交付が行われます。18歳以上になると成人としての判定がされ、その際には区分や等級の再検討が行われることがあります。

 

「精神障害者保健福祉手帳」は全ての精神障害が対象で、日常生活や社会生活が長期にわたって制約されている人に交付される手帳です。発達障害のある方は「精神障害者保健福祉手帳」の交付対象ですが、知的障害も併存する場合には「療育手帳」対象となります。

 

手帳の有効期限について

「療育手帳」には有効期限はありませんが、手帳に次の判定日が記載されている場合には、その日付を過ぎるとこれまで受けられた福祉サービスが受けられなくなるケースがあります。期限までに児童相談所や知的障害者更生相談所で再判定を受けてください。なお、18歳以上で、「次の判定年月」が再判定不要となっている場合には、再判定を受ける必要はありません。

 

「精神障害者保健福祉手帳」の有効期限は、交付日から2年が経過する月の末日です。2年毎に、診断書または年金証書などの写しを添えて更新の手続きを行って、都道府県知事の認定を受けなければなりません。

 

療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の申請・取得方法

「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の申請方法や取得方法について紹介します。

 

療育手帳の申請方法

「療育手帳」の交付を申請する先は、居住する市区町村の障害福祉課などの窓口です。まずは窓口で申請書を入手しましょう。また、多くの市区町村ではホームページから申請書をダウンロードすることができます。ただし、申請の際に必要となる書類は、市区町村によって異なるため予め窓口で確認するとよいでしょう。

 

一般的に申請の際に必要なものは以下の通りです。

・療育手帳交付申請書

・本人の顔写真

・印鑑(不要の場合もあり)

・マイナンバー関連書類

 

申請後に判定の予約をして、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所で判定を受けます。判定を受けて申請が認められると、通常は1〜2ヶ月ほどで「療育手帳」が交付されます。

 

精神障害者保健福祉手帳の申請方法

「精神障害者保健福祉手帳」の交付を申請する先は、居住する市区町村の障害福祉課などの窓口です。「精神障害者保健福祉手帳」を申請したい旨を伝えて書類を受け取ります。

 

申請には診断書が必要となるため、主治医に診断書を書いてもらいます。診断書は、初診日から6か月以上経ってから精神保健指定医(または精神障害の診断や治療に従事する医師)が記載したものです。必要書類一式を揃えて市区町村の担当窓口に提出します。障害のある本人の提出が難しい場合には、保護者や家族、医療機関職員が代理で申請することも可能です。市区町村によって異なりますが、申請から交付までは通常2ヶ月ほどかかります。

 

一般的に申請の際に必要なものは以下の通りです。

・精神障害者保健福祉手帳交付申請書

・診断書

・本人の顔写真

・印鑑(不要の場合もあり)

・マイナンバー関連書類

 

なお、精神障害が理由で障害年金を受給している場合には、障害年金証書の写しを診断書の代わりとして提出できます。

障害者手帳を持つことのメリット・デメリット

「療育手帳」や「精神障害者保健福祉手帳」などの障害者手帳を持つことのメリットとデメリットについて説明します。

 

障害者手帳を持つことのメリット

障害者手帳を取得すると、公共料金の割引、手当の給付、税金の控除、各自治体や民間事業者が提供する福祉サービスなどが受けられます。ただし、障害者手帳の種類や等級、市区町村によって受けられるサービスが異なるため、詳しくは居住する市区町村の障害福祉窓口に確認してください。

 

主な割引や助成、税金の免除には次のようなものがあります。

・バスやタクシー、鉄道、航空運賃などの公共交通機関利用料金の割引

・公共施設利用料金の割引や減免

・医療費の助成

・所得税や住民税の控除

・NHK受信料の減免

・就労支援や生活支援

 

また、障害者手帳を取得することで障害者雇用枠で就職活動ができることも大きなメリットといえるでしょう。

 

障害者手帳を持つことのデメリット

上記のように障害者手帳を持つことでたくさんのメリットがありますが、デメリットは特にありません。あえてデメリットをあげるとすると以下の点です。

 

・申請や更新手続きに手間がかかる。

・診断書が必要な場合には、診断書を作成してもらう費用がかかる。

・障害者雇用枠は一般雇用枠と比べて賃金が低くなる可能性がある。

 

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まとめ

「療育手帳」は知的障害があると判定された方に交付される手帳、「精神障害者保健福祉手帳」は精神障害がある方に交付される障害者手帳です。居住する市区町村によって異なりますが、手帳の交付を受けると公共料金の割引、手当の給付、税金の控除などさまざまメリットがあります。

 

交付申請の流れや必要書類は、市区町村によって違うため、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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