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オープン・クローズ就労のメリットとは?セミオープンについても解説

更新日:2025年06月03日

障がいのある方が就職活動を進める上で一度は突き当たる課題、「障害者採用枠で働くか、それとも一般採用で働くか」というものがあると思います。今回はそれぞれの働き方のメリット、デメリットについてまとめてみました。今後の就職活動の参考になれば幸いです。

障害者雇用におけるオープン・クローズ就労とは

求職中のみなさん、この様なお悩みはありませんか?

 

「障がいのことを伝えると、職場で浮いてしまわないか・・・」

「障害者採用だと安定した収入と雇用を確保できるか・・・」

「障害者採用ではやりがいを持てる仕事を任せてもらえるのか・・・」

 

一方で、障がいのことを伝えないと体力的に働き続けられるか不安・・・という方も少なくないのではないでしょうか?

 

ハローワークを通じた精神障がい者の新規就職件数は年々増加し、2016年4月からは障害者差別禁止法も施行され、障がいがあることを職場へ伝えやすい時代となりつつありますが、まだまだためらう方もいらっしゃいます。

 

将来のキャリアや、周囲からの評価などが気になり、「本当に伝えて良いのか」と思い悩むケースが大半です。今回は、求職中でオープンかクローズかに悩む方にとって、働き方を検討する材料になればと思いこのテーマを取り上げました。

「自分一人で就職活動するのが不安、、」
そんな方は、どのように障害を企業に伝えればいいかなど、障害者専門の転職エージェントに一度相談してみることをおすすめします。

まずは改めて、オープン・クローズとは何かについて説明します。

 

【オープン・クローズとは】

身体や精神に障がいがあることを職場へ伝えることを「オープン」、伝えないことを「クローズ」と言われています。

 

ではそれぞれどの様なメリット・デメリットがあるのでしょうか。

オープン就労のメリット

オープン就労のメリットは、ご自身の体調や障がい状況に対し必要な配慮を頂けることです。ここでは、いくつかの例を挙げたいと思います。

 

例えばうつの症状のある方への配慮の場合、残業を避けることや、体調に合わせて勤務時間を短くすること、体調管理に影響を与える業務を避ける(例えば、電話や来客対応、難しいかけ引きや交渉が発生しやすい業務を避けるなど)ための職場配属、体調に変化があった場合に周囲から気付きをうながすなどのフォロー、定期面談の実施、通院のためのお休み等の配慮を頂けるため、長期的に無理をせずに就業できる環境が整いやすくなります。

 

聴覚過敏があって聞き取りを苦手としている発達障がいのある方の例では、 一般採用であれば自分で工夫をして対応する必要が生じますが、(メモが取れるように練習する、そもそも電話対応のない仕事を選ぶなど)オープンであれば電話対応を自分の担当業務から外してもらうことができるかもしれません。

 

感覚過敏で締め付けられる感覚が苦手な発達障がいの方の場合、ネクタイを締めるのが苦痛だったり、スーツや制服の着用が苦痛になることもありますよね。一般採用であればそうした点を解消するためにオフィスカジュアルで問題のない業界を選択したり、私服勤務の会社を選ぶなど就職先のリサーチが必要になってきます。障害者採用であればネクタイの着用の免除や、私服着用の許可といった配慮が得られるかもしれません。

 

過集中することで人一倍疲労を感じやすい発達障がいの方は、一般採用の場合はアラームを使って自己管理するなどの工夫をする必要があります。 障害者採用であれば定期的な休憩をとることの理解や残業しないよう周囲が声掛けをしてくれるなど配慮を得やすいでしょう。

 

身体障がい(内部障がいや免疫障がいなど目で見て判断しづらい障がい)においても同じです。フルタイムで働けるだけの十分な気力、体力があったとしても休職期間があったりした場合は当面のラッシュアワー時の通勤を避けたり、残業はできるだけしないほうがよいこともあるでしょう。また、定期通院が必要であったり、食事のとり方で周囲の理解が必要なこともあるかもしれません。そうした場合、障害者採用であれば就労上の配慮事項として検討いただけるでしょうし、一般採用の場合には仕事に影響がないことを踏まえたうえで就職する必要があるでしょう。

 

「オープン」では自分の特性をオープンにすることによって働きやすい就業環境を手にする可能性が高くなります。

 

障害をオープンにして就職・転職を考えているなら、障害者専門の転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。

自分の特性を見つめなおしたとき、自己管理できること、配慮を得たほうが良いことを総合的に判断したうえでオープンかクローズかを決めるというのも大事になるでしょう。

オープン就労のデメリット

 求人数が少なく、職種の選択肢も限られている

障害者採用の求人では一般採用の求人と比較すると職種の選択肢が狭くなり、求人件数が減る場合が多いです。オープンにして就労をする場合に、多くの方が障害者採用の求人を選択します。
職種の選択肢が狭くなるというのは、障がい者採用の求人は一般事務が多く、営業職や開発職等の求人件数が少ないためです 。

 

給与水準が低く、キャリアアップの機会が少ない

オープン就労は、クローズ就労や一般就労に比べて給与水準が低い傾向があります。

また、昇進やキャリアパスが限られる場合があります。

 

 精神的な負担

障害により差別や偏見を受けたり、同僚の理解が得られず精神的な負担を感じることがあります。

クローズ就労のメリット

求人数が多く、選択肢が広い

一般雇用枠での求人は障害者雇用に比べて求人数が多く、職種や業種、勤務条件の選択肢も豊富なため、自分に合った仕事や働き方を見つけやすい可能性が高いです。

 

給与水準が高く、キャリアアップの機会も多い

一般雇用枠では、障害者雇用よりも高い給与水準が期待できます。

また、障害を意識せずに、能力や実績で評価されるため、キャリアアップの機会が多く、高い給与や役職に就く可能性も高くなります。

クローズ就労のデメリット

障害への配慮が受けられない

クローズ就労では、障害特性に応じた業務の調整やサポートが受けられないため、業務の遂行に困難を感じたり、不安を感じたり、体調を崩す可能性があります。

また、通院の為のお休みも申請しづらいため、通院頻度を減らしてしまったり、通院ができなくなってしまったという経験談も聞きます。服薬も周囲に気付かれないようにと気を遣います。

 

精神的な負担

転職直後は慣れない環境への順応に加え、仕事内容、人間関係などすべてが新しくなるため、誰でもストレスが掛かるものですが、そこへ病気を隠しているという大きなストレスも加わり、体調を悪化させてしまうケースもあるようです。

 

また、一般採用において自分の障がいを会社に伝えないことに不安を感じることもあるかもしれません。職場の人に障がいのあることを隠し続けること自体が心身のストレスにもつながりかねません。

 

内定が出た後、多くの企業では入社時健康診断がありますが、自分の障がいが企業にわかってしまうのではないかという心配を抱く方もいるかもしれません。

 

とはいえ、企業も社員(これから入社する人)も安全配慮義務を果たすために社員の健康状態を把握しておかなければならないという事情もあります。

会社所定の病院で健康診断を受けるにせよ、事前に健康診断を提出するにせよ、「かかりつけ医に定期的にかかりフォローアップができている」といったことを産業医、問診医に伝えるなど仕事はしっかりできることをアピールする必要があります。

 

 

メリット・デメリットを整理すると、オープンは「就職の機会はクローズと比較すると減るが、長く働くためには有効」、クローズは「就職の機会は増えるが、長く働くためには不安が残る」となります。しかし、多くの方は「就職」と「長く働く」ことの両方を実現したいと考えるものです。両方を実現するための手段はないのでしょうか。

定着率から見るオープン就労とクローズ就労の違い

障害者職業総合センターの報告書によると、企業に障害を伝えて入社するオープン就労の方が、クローズ就労よりも職場定着率が高いです。

参考:障害者の就業状況等に関する調査研究

オープン就労・クローズ就労で働くための条件

オープン就労の場合、一般枠と障害者雇用枠の両方の求人に応募できます。なお、障害者雇用枠の求人に応募する場合は、障害者手帳の取得が必須です。

 

一方、クローズ就労の場合、特別な条件はなく、一般採用枠で働くことになります。

 

オープン就労とクローズ就労で働くための条件は難しいことはありません。大切なのは自分の特性や働き方の希望に合った選択をすることです。

オープン就労とクローズ就労のどちらが向いているか?

オープンとクローズ、自分にとってはどっちが良い?の画像

オープンかクローズかの判断をする前に考えて欲しいことが、「今、自分は長く安定して働き続けられる状態か?」ということです。まずは自分の症状を理解し、働き続けるための課題と対策を整理することをおすすめします。

 

自分の症状を理解していないまま入社すると、オープン・クローズのどちらであっても体調を崩した時に周囲に負担を掛け、仕事への影響が大きくなる可能性があります。

 

長く働き続けるための課題と対策と予防法がまとまれば、それを実現できる環境がオープン・クローズのどちらかを考えてみましょう。

 

オープン就労に向いている人

●障害により業務に影響が出る可能性が高い
●主治医がクローズ就労に対して懸念を抱いている
●職場での人間関係を築くのが難しいと感じている
●気軽に悩みなどを相談できる相手がいない
●ストレス発散方法がわからない
●体調がある程度安定していても、長く働きつづけることを考えると不安が残る

 

クローズ就労に向いている人

●障害による業務上の制約がほとんどない
●自己管理が得意で、体調不良はある程度コントロールできる
●職場での人間関係づくりを苦に思わない
●気軽に悩みなどを相談できる家族や友人がいる
●ストレス発散方法がわかっている
●体調が安定していて、キャリアアップや年収アップを重視したい

 

オープンクローズを選んだからといって将来的にもクローズで働き続ける必要はありません。その時その時の自身の体調と照らし合わせて選択をすればよいのです。

セミオープン就労の活用

障害のある方が働くうえで、「オープン就労」と「クローズ就労」の二つの選択肢がありますが、どちらを選ぶかに迷いや不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そんな時、もう一つの選択肢として知っておいていただきたいのが、「セミオープン就労」です。

 

セミオープン就労とは、障害のある方が一般枠で働きながら、一部の人にのみ障害を開示し、残りの社員には開示しない就労方法です。

例えば、上司や人事には障害を伝える一方、他の社員には伝えずに働くという形になります。オープン就労とクローズ就労の中間的な位置づけです。

 

セミオープン就労のメリット

> クローズ就労より働きやすい

上司などの一部の人からサポートを受けつつ、他の社員に障害を知られずに働けるため、クローズ就労より働きやすい

 

> キャリアアップしやすく、給与水準が高い

オープン就労に比べ、能力評価がより客観的に行われる可能性があり、給与や年収も高い傾向がある

 

セミオープン就労のデメリット

> セミオープン就労を受け入れる企業が少ない

セミオープン就労ができる企業は少ないため、就職活動の選択肢が限られる可能性がある

 

> 望む配慮をすべて受けることは難しい

セミオープン就労では、障害状況や必要な配慮を伝えることでサポートを受けることはできますが、希望するすべての配慮が得られるわけではない

自分の「今」を知るには?

ご自身の症状の理解については、机上で考えるよりも実際に体験して主観だけでなく客観的な意見も取り入れることが有効です。実際に体験し、客観的な意見ももらえる場としてはデイケアやリワーク施設、就労移行支援事業所など、日々通いながら自分の状態を把握することができる施設が有効です。体調や気持ちの変化などを点ではなく、線や面でとらえられ、施設の職員から客観的な評価を貰うこともできます。

 

長く働き続けるための課題と対策と予防法をまとめるために利用してみてはいかがでしょうか。
atGPエージェント

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ライター:atGPLABO編集部(監修:戸田重央)

障害者専門の人材紹介として15年以上の経験とノウハウを活かし、障害者の雇用、就労をテーマとした情報発信活動を推進しています。 【監修者:戸田 重央プロフィール】 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所所長。 企業の障害者雇用コンサルタント業務に携わった後、2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。

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