適応障害の就活や転職に就労移行支援を活用する!就職実績も紹介
更新日:2025年01月28日
適応障害は、ストレスが原因で発症する精神障害の一種です。仕事のストレスが原因となることも多いので、適応障害の症状を改善させるには、自分に向いている仕事や働き方を選ぶことが重要です。
本記事では、適応障害の原因や症状、治療法、適応障害のある方が就活の際につらいと感じる原因、適応障害のある方に向いている仕事、就活で困った時の相談先などについて詳しく解説します。
目次
適応障害とは
適応障害とは、仕事や家庭、学校、病気、人間関係、恋愛など、ある特定の出来事や状況が、その人にとってとても辛く耐え難いと感じた時に、大きなストレスとなって心身のバランスが崩れて、社会生活に支障をきたす状態をいいます。
適応障害はさまざまな原因で引き起こされますが、不安を引き起こしている原因がはっきりしていることが多いため、原因から離れることで症状は改善します。
しかし、仕事や学校が原因となっている場合には、現実的に環境を変えることが難しいケースも少なくありません。そのため、ストレスの原因から離れることができずに、症状が長期化することもあります。
適応障害の症状
適応障害の症状は、ストレスの状況や本人の性格などによってさまざまが形で現れますが、主に次のようなケースに分けられます。
情緒的な症状
不安、抑うつ状態、無気力、思考力の低下、集中力の低下、イライラ、焦り、緊張、神経の過敏 混乱など
身体的な症状
不眠、起床困難、全身の倦怠感、食欲不振、頭痛、めまい、動悸、倦怠感、肩こり、腹痛、吐き気など
問題行動
早退遅刻、無断欠勤、不登校、暴飲暴食、暴力的な行動、ギャンブル中毒、器物破損、ひきこもりなど
上記のように、適応障害はうつ病と似た症状が現れます。適応障害とうつ病の違いは、ストレスを取り除いても症状が持続するかどうかです。ストレス反応の一種である適応障害は、原因となるストレスを取り除くことで症状が改善します。一方で脳の不調から引き起こされるうつ病は、ストレスを避けてもすぐに症状は改善しません。
適応障害の方の就職、転職活動
適応障害では、うつ病と違い、そのストレスの原因は自覚できる明確なものです。それさえ除去できれば症状は緩和、改善されます。
仕事のストレスが原因で適応障害を発症してしまった場合には、仕事から離れてしっかりと休むことが有効です。
無理して働きながら通院したり、自分でストレスを解消しようとしても、ストレスの原因が仕事上のものであれば状況の改善は難しく、職務も今までどおり果たすことができません。かえって重症化し働けなくなる可能性もあります。
適応障害とわかったら早めに医師や家族などの協力を受けながら、ゆったりとした日常を過ごすことが大切です。自分の体のことを第一に考え、仕事は症状が落ち着いてからにしましょう。
就職・転職や復職には、様々な障害者を支援する施策やサービスがあります。一人で無理せず、それらのサービスを賢く有効利用して、社会復帰を目指しましょう。
適応障害のある方に向いている仕事とは
適応障害のある方が、働くためには適応障害の症状や特性に合った仕事を選ぶことが大切です。適応障害の原因となるストレスは人それぞれ感じ方が違うため、すべての方に当てはまるわけではありませんが、一例として参考にしてください。
業務内容が決まっている仕事
臨機応変な対応が求められる仕事は、その時々によってどのように行動すればよいのか変わるため、長く勤めても慣れることができず、常にプレッシャーやストレスを感じながら仕事をしなければなりません。
毎日行うルーティンの業務が決まっている仕事や、マニュアル通りにする仕事は、臨機応変な対応を求められることが少ないため、適応障害のある方に向いているといえるでしょう。
自分にとってストレスにならない仕事
適応障害のある方は、原因となるストレスにならない仕事を選ぶことが大切です。どのような原因がストレスになるかは、人それぞれですが、ノルマのある仕事や重い責任やプレッシャーのある仕事、顧客からのクレームに対応する仕事などは避けた方がいいでしょう。
自分のペースで進められる仕事
適応障害のある方は、真面目で完璧主義なため必要以上に仕事にストレスを感じるケースがあります。そのため、自分のペースで進められる仕事が向いています。
就職、転職活動がつらいと感じる原因
就職活動がつらいと感じることで、強いストレスとなり適応障害になったり適応障害の症状が悪化することがあります。では、就活がつらいと感じる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
慣れない就活がつらい
就活といっても何をやるべきかわからない、やるべきことが分かっていても時間が取れないなど、就活そのものがつらいと感じている人も少なくありません。
興味のある業界や職種から企業を選んで、業界研究や企業研究を行って応募先についての理解を深める、応募書類を書いて提出、志望動機など面接で答える内容を整理して面接に備えるなど就活には、やるべきことがたくさんあります。
新卒であれば学生生活も行いながら、転職であれば仕事をしながらの就活には誰でもストレスを感じるものです
不採用が続いて自信を失う
就活で一番つらいと感じるのは、不採用が続いた時でしょう。不採用ばかりだと次第に自分に対する自信を失います。就活は、企業に自分をアピールする場です。自分に自信が持てなければ、何をアピールしていいのか内容が思いつかなくなります。
特に、これまで挫折を経験したことがない人は、不採用が続くと自信喪失となる可能性があります。
周囲の人と比べてしまう
自分に自信が持てない人は、面接試験で他の応募者が経験や知識が豊富な人に見えてしまい、さらに自信を失うことがあります。面接で落ち着いてアピールしようと思えば思うほど、逆に焦ってしまい上手く話すことができない可能性もあります。
不採用になっても、たまたま企業との相性が悪かっただけと割り切ることができればいいですが、不採用が続くと企業から自分の能力を否定されたと感じてつらくなる人もいます。
相談できる人がいなくてつらい
就職活動や転職活動は、初めての経験の人が多く、そのため悩んだり迷ったりすることが多いものです。そんな時に相談できる相手がいないという人もいることでしょう。一人で悩みを抱え込むことで、ストレスが大きくなります。
就労移行支援に相談する
就労移行支援
「就労移行支援」は、一般企業への就職を希望する65歳未満の障害のある方が対象で、就職に必要な知識や能力向上のための訓練や、就職活動に関するサポート、職場定着のための相談などを行います。
就労支援事業所で受けられるサービス
就労移行支援事業所では、大きく分けて「職業訓練」「就職活動のサポート」「職場定着支援」の3つのサービスが受けられます。
・職業訓練
就労移行支援事業所に通うことで、企業で働くために必要となる知識や能力、ビジネスマナー、日常生活の管理や健康管理などを身につけるための研修や職場実習などを受けることができます。
・就職活動のサポート
選考試験に向けた応募書類の作成や面接試験の対策、キャリアカウンセリングなど就職活動のサポートを行います。また、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センターと連携して、適性に合った職場探しのサポートも行います。
・職場定着支援
就労移行支援事業所では、入社後から原則6か月は職場定着支援が行われます。定期的に職場を訪問・面談して、就職した障害者の方から仕事や人間関係の相談を受けたり、企業へ環境調整を依頼したりします。
就労支援事業所の就業実績
参考:就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ|厚生労働省
・就労移行支援の一般就労移行率
就労移行支援からの一般就労移行率(就職率)は年々上昇し続け、令和4年時点では57.2%となっています。
※一般就労移行率とは、サービス利用終了した人(途中でやめた人含む)のうち一般就労(就職)した人の割合です。
・就労移行支援の就職者数
就労移行支援から一般就労する人も年々増加しており、令和4年には15,094人の方が就職しています。
適応障害の治療・対処方法
適応障害の治療で重要なのは、ストレスによる負荷の軽減を図ることと、ストレスが軽減された状態に適応できるようにすることです。
環境調整
適応障害の最大の治療法はストレスの原因から離れることです。例えば、職場でのストレスが負荷となっているようであれば、部署の異動や人の配置を変えてもらうなど、環境を変えることができないか上司に相談してみましょう。
心身ともに疲れきってしまっている場合には、休職して一定期間しっかりと休養することで症状の改善が期待できます。
ストレスが軽減された状態に適応できるようにする
適応障害の治療には、認知行動療法と薬物療法などが行われます。
認知行動療法とは、認知に働きかけて気持ちを軽くする心理療法です。認知は、もののとらえ方や受け取り方、考え方のことをいいます。適応障害の治療においては、ストレスが原因で症状が出ていることを患者自身に正しく把握させて、そのような場面での適切な対応法を訓練して、最終的にセルフコントロールできる状態を目指します。
適応障害においては、薬物療法はあくまで補助的な治療です。不眠症状や抑うつ状態、不安が強い場合には、対症療法的に薬を処方します。
困ったときの相談窓口
ストレスにより心や体に不調を感じたら、まずは心療内科を受診しましょう。適応障害の方は、精神障害者保健福祉手帳を取得できる場合もあります。主治医に相談してみましょう。また、就職に関する相談には、次のような支援やサポートが受けられます。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害のある方に専門的な職業リハビリテーションを提供しています。他にも就職後、スムーズに職場に慣れるようにジョブコーチを派遣したり、休職中の方へのリワーク支援なども行っています。
就職エージェント
就職エージェントとは、専任のアドバイザーが就職活動のサポートをしてくれるサービスです。就職エージェントの中には、障害のある方の就活に特化したものもあります。
転職エージェント
転職エージェントとは、「転職したい」求職者の方と「人材を採用したい」企業をベストマッチングするサービスです。
「自分一人で転職活動をするのは不安だ・・」
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そんな人は、障害者専門の転職エージェントに相談しながら二人三脚で転職活動を進めるのがおすすめです。