【2024年】障害者雇用率ランキング!おすすめの企業トップ20
更新日:2025年03月04日
ここ数年、障害者の社会参加の機運が高まる中、毎年、東洋経済新報社から発表される障害者雇用率の高い企業のランキングがとても注目を浴びています。毎年秋に発表される同社の2024度のランキングを基に、障害者雇用率の高い企業上位20社までをご紹介するとともに、障害者雇用の現状についても触れていきます。障害者が就労について考える上で、どのような企業が障害者雇用に対して意欲的なのかを知ることは就職活動を進めるための大事な情報となります。
目次
障害者雇用率と障害者雇用の現状について
今回の障害者雇用率上位のランキングを見ていくにあたり、簡単に障害者雇用率制度と障害者雇用関係の最新のデータをご紹介したいと思います。
法定雇用率制度と改定内容
障害者雇用率制度は「障害者の雇用促進等に関する法律」(1960年)に基づき、障害者の雇用促進を図るために定められた制度です。同制度は「障害者の雇用促進等に関する法律」の改正の度に対象となる障害が身体、知的、精神(発達)障害と段階的に広がっていきました。
2018年の改正(平成30)では民間企業の法定雇用率を2.2%としており、2021年(令和3年)に0.1ポイント増の2.3%に、2024年(令和6年)に0.2ポイント増の2.5%に引き上げられました。
さらに、2026年(令和8年)4月には2.7%に段階的に引き上げられることが決まっています。現在、対象となるのは40.0人以上の従業員を雇用する事業主で、2026年4月の段階では、従業員37.5人に1人の割合で障害者の雇用が義務付けられることになります。
法定雇用率を達成すると障害者雇用調整金が雇用する人数によって支給され、法定雇用率が達成できない場合、101名以上の労働者を雇用する事業主は障害者雇用納付金を不足する人数分を国に支払うことになっています。
2024(令和6)年度障害者雇用状況の集計結果
2024(令和6)年の障害者雇用状況の資料を見てみますと、2024年の民間における雇用障害者数は 67 万 7,461.5人で前年よりも 5.5%(3万 5,283.5 人)増加し、実雇用率も前年度より0.08ポイント上昇し2.41%と、いずれも過去最高を記録しています。
法定雇用率を達成した企業は 46.0%で、全体の約半分を占めています。この約半分という数字が多いのか少ないのかはそれぞれの捉え方によると思いますが、障害者の社会参加への動きは今までの日本にはなかった広がりを見せています。
それは民主主義社会における人権への理解が進んだと考えることもできますが、2006年に国連で採択された「障害者権利条約」の批准に向けた日本国内の障害者関連制度の整備や、東京オリンピックの後に開催されたパラリンピックに向けた政府関係諸機関のアピール、少子高齢化による労働人口の減少などの諸要因が重なり、障害者の就労を後押しする力になっているのは確かと言えるでしょう。
障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度
障害者雇用の平均年収は?
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査結果」によると、障害別の1ヶ月の平均賃金は下記の通りとなります。
◇身体障害者:23万5千円
◇知的障害者:13万7千円
◇精神障害者:14万9千円
◇発達障害者:13万円
よって、障害者雇用の平均年収は、およそ下記の数値になると考えられます。(それぞれに12ヶ月をかけた数字)
◇身体障害者:282万円
◇知的障害者:164万4千円
◇精神障害者:178万8千円
◇発達障害者:156万円
賞与分なども含めて身体障害者の正社員の年収は300万円〜400万円程度、知的・精神・発達障害者の場合は200万円〜300万円程度が目安です。ただし、平均には短時間労働者も含まれるため、正社員と短時間勤務者では大きな差が生じることがあります。短時間勤務の場合は平均値を下回ることが多いです。
障害者雇用率の高い業種とは?
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査結果」によると、障害者雇用率の高い職種は産業別に下記のようになっています。
●身体障害者
製造業 21.3%、卸売業、小売業 21.2%、サービス業 14.9%
●知的障害者
卸売業、小売業32.9%、製造業 15.4%、サービス業 13.2%
●精神障害者
卸売業、小売業で 25.8%、製造業 15.4%、サービス業 14.2%
●発達障害者
卸売業、小売業で 40.5%、サービス業 14.6%、製造業 10.2%
障害の種類に関係なく、上位は同じ職種となっています。
テクノロジーの進化と企業の理解向上により、障害者雇用枠の職種は今後まだまだ増えていくでしょう。
障害者雇用率ランキング2024トップ20
冒頭で触れましたように、データ出典は東洋経済新報社『「障害者の雇用率」が高い上位100社ランキング』(2024年9月30日)となります。同ランキングは2022年の調査値です。以下、その中から企業名と雇用率(%)を上位20位まで記載します。
第1位:ゼネラルパートナーズ(16.60)
第2位:ハウスコム(16.07)
第3位:エフピコ(12.50)
第4位:ジットグループ(10.82)
第5位:エイチーム(8.87)
第6位:キトー(7.03)
第7位:JSP(5.48)
第8位:AOKIホールディングズ(4.95)
第9位:ファーストリテイリング(4.92)
第10位:白鳩(4.90)
第11位:関通(4.80)
第12位:ヤマト・インダストリー(4.65)
第13位:ファンケル(4.46)
第14位:ハピネット(4.35)
第15位:日本電気硝子(4.28)
第16位:ホクリヨウ(4.20)
同第16位:資生堂(4.18)
第18位:リヒトラブ(4.10)
第19位:サンゲツ(3.91)
第20位:横浜魚類(3.86)
同記事ではタイトルどおり、上位100位までをランキングしていますが、情報量が多くなりすぎるため、上位20位までにしぼって掲載しました。さらにトップ10に入った事業所の詳細についてご紹介します。一般企業の法定雇用率が2.3%だということを考えると上記の上位20位の企業でさえ3.86%と高い障害者雇用率を誇ります。ちなみに99位の企業でも2.99%の法定雇用率以上の数値となっています。
第1位:株式会社ゼネラルパートナーズ
株式会社ゼネラルパートナーズは2003年に設立された企業です。主な事業内容は障害者の就職・転職に関するサービスです(障害者の就労に関する情報発信を含む)。具体的な事業としては障害者の求人情報・人材紹介サービスと、就労移行支援事業、就労定着支援事業、就労継続支援A型事業など、複数の障害者総合支援法下のサービスを展開しています。障害者雇用率16.60%は断トツの1位です。
第2位:ハウスコム
ハウスコム株式会社は大東建託傘下の賃貸仲介専門会社で、障害者雇用率は上場企業ではトップの6.07%となっています。社内プロジェクトとして、「障害者共働プロジェクト」を発足させ、障害者と健常者がともにいきいきと働くことができる職場をつくることを目的として活動しています。コミュニティサイトの作成や本社内におけるユニバーサル自動販売機の導入など、障害者に配慮した職場環境の構築と改善が行われています。
第3位:株式会社エフピコ
株式会社エフピコは広島県に本社を置く、主に食品容器(トレー、総菜などの容器)製造を行なう一部上場企業です。業界でのシェアは1位で広島有数の大企業ですが、障害者雇用率上位の常連企業でもあり、2020年は12.7%で第2位、2021年も12.6%で第2位でした。雇用する障害者数は365人と非常に多く、取引先の障害者雇用のサポートまでやるという徹底ぶりです。
第4位:ジットグループ
ジットグループはリサイクル事業、医療・ヘルスケア事業、リユース事業、保育園事業など多角的に展開しています。障害者雇用率が10.82%(グループ4法人の合算値)で、雇用している障害者の人数は48人です。継続した障害者雇用と働きやすい環境整備のため、南アルプス市自立支援協議会の権利擁護部会と連携し、ジットグループ全体を対象とした研修会を実施するなど、「合理的配慮」の取り組みを推進しています。
第5位:エイチーム
株式会社エイチームは、愛知県に本社を置くスマホゲーム、比較・情報サイト、ECを3本柱とする純粋持株会社です。障害者雇用率は8.87%で、5人の障害者を雇用しています。障害者雇用促進の一環で、視覚障害者をヘルスキーパーとして雇用しています。
第6位:株式会社キトー
株式会社キトーは関東に本拠を置く老舗機械メーカーで、障害者雇用率は7.03%、雇用している障害者の人数は36人です。製造している機械は工場などで荷物を吊り上げるチェーンブロックや、ホイスト式クレーンなどで、国内シェアも第1位、従業員も2000人超の大企業です。「障がい者雇用マスタープラン」を5年ごとに見直し、障害者の個性に合った配属や家族との連携など福祉的な視点を取り入れているので、応募する側も安心できます。
第7位:JSP
JSPは、自動車の軽量化部材、高機能断熱材、食品容器、各種緩衝材、梱包材などの発泡材を扱う企業です。主にグループの特例子会社であるJPPモールディングで障害者を雇用しています。JSPモールディングでは、複数サポーターによる業務指導や、得意・不得意の把握、ジョブローテーションを実施することで、適材適所の配置を実現しています。障害者雇用率は5.48%で、47人の障害者を雇用しています。
第8位:AOKIホールディングス
AOKIホールディングスは、スーツのAOKIでおなじみの、神奈川県横浜市に本社を置くメンズ・レディスの衣料品及び服飾品の企画販売を主軸事業とする企業です。
連結していない、AOKIホールディングス単体での障害者雇用率は4.95%で、6人の障害者を雇用しています。障害者雇用率5.0%を目標に掲げ、積極的に障害者雇用に取り組んでいます。全国に5カ所ある障害者雇用専門オフィスで店舗運営をサポートする業務を障害者が活躍する場として提供しています。
第9位:株式会社ファーストリテイリング
エイベックスと並んで世間の認知度が高い、山口県に本社を置くファーストリテイリングが第9位にランクインしています。障害者雇用率は4.92%、1167人の障害者を雇用しています。言わずと知れた、ユニクロ、GUの運営会社で、障害者を積極的に採用している企業としても定評があります。原則的に1店舗1人以上の障害者雇用を目標とし、達成しているようです。全国に多くの店舗がある分、求職する側も地域で働く可能性が広がる嬉しい会社です。
第10位:白鳩
白鳩は京都に本社を置く女性中心の下着のネット通販会社です。京都府による障害者雇用推進認証企業で、昨年に引き続き、10位にラインクインしています。障害者雇用率は4.9%、7人の障害者を雇用しています。他の従業員と同様に商品の梱包作業を行い、1人で完結させることで、通常の業務プロセスに組み込まれた取り組みが雇用促進に繋がっています。
障害者雇用率の高さがこのような紙面に載ったり、厚生労働省や自治体に表彰されることは、社会的に優良企業として認知が高まり、企業側にとっても経営上のメリットにつながります。単に就労したい障害者が増えるだけでなく、障害者の家族や関係者がその企業の商品を買ったり、サービスを利用するという効果も考えられます。こちらでご紹介したランキング上位の企業の中には最初から障害者の保護者や関係者などが設立した企業もあれば、人材確保が困難な状況での一手と考えたり、社会的認知度を上げたいなどさまざまな背景があると考えられますが、当初の理由がどうであれ、このように障害者の社会参加の機会が創出されることにより、障害者の理解が広がっていくのです。
「障害者雇用の基礎知識」資料が無料ダウンロードできます
障害者雇用については、「障害者雇用促進法」という法律で義務付けられていますが、障害者雇用促進法には、他にも障害者差別の禁止や合理的配慮の提供の義務などが定められています。
障害者雇用にまつわるメリット・デメリットをはじめ、最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
この資料でわかること
・障害者雇用とは?
・障害者を雇用するメリット
・障害者を雇用しないデメリット
・障害者雇用が進まない企業が抱える課題
・課題を解消するポイント
・押さえておくべき障害者雇用の法律・制度
▼サンプル
優良企業は社会的責任を重要視する
優良企業というのは総資産や利益のみで測れるものではありません。ビジネスの世界にはCSRという一般人には耳慣れない言葉があります。
CSR(Corporate Social Responsiblity)は企業の社会的責任という意味です。ビジネスだけではなく労働者や地域社会に対する責任、貢献という意味ですが、障害者や女性の雇用、または幹部への登用において日本は明らかに欧米諸国に遅れています。
障害者の実雇用率は改善されてはいるものの、まだまだ障害者の社会参加への理解不足の現れと言ってもよいかもしれません。そのような現状での障害者の就職活動は、会社の規模や知名度だけではなく、企業が従業員や地域社会に目を向けているかは大事な指標と言えるのではないでしょうか。